中辺路なかへち
熊野参詣道 中辺路 紀伊田辺から山中に分け入り熊野三山を巡る道
京都あるいは西日本から熊野三山へ参詣する道筋のうち最も頻繁に使われた経路で、紀伊田辺から東に転じ山中に分け入り熊野三山を巡る道である。熊野本宮大社と熊野速玉大社の間は熊野川の船運を利用することが多いが、その他の大部分の行程は険しい山道である。この道は、熊野神の御子神を祀った「王子」がもしくはその遺跡が点在するのが特徴である。
文化財指定 | 史跡 |
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所在地 | 和歌山県 田辺市、新宮市、西牟婁郡上富田町、東牟婁郡那智勝浦町 |
熊野参詣道 中辺路マップ
潮見峠越
中辺路の峠越え経路のうち捻木峠から最頂部の潮見峠に至る山腹にある緩斜面の区間。
稲葉根王子跡
王子の中でも格式の高い五躰王子に数えられる。19世紀後半に他の神社と合祀されたものの、境内地が良好に保存されている。
滝尻王子跡
藤代王子、切目王子などとともに五躰王子として重くみられた。
男坂
女坂を下り仲人茶屋跡から登る、中辺路には数少ない良好に遺存する石敷道。
赤木越
大日越を経て熊野本宮大社へ向かうために湯峯温泉へと至る経路。一部には近世に敷設された石畳道が遺存する。
百間ぐら
小雲取越えのルートにあり、熊野三千六百峰といわれる山並みが一望できる峠
石倉峠の石畳
大雲取越の地蔵茶屋跡と越前茶屋跡の中間に位置する石倉峠の石敷道は、比較的大振りの石が使用されている。
大門坂
那智山への石敷きの旧参道。
石敷道を登り切った所に大門が建っていたことからこの名が付けられた。
高野坂
浜王子と佐野王子の間に遺る参詣道。中辺路唯一の海が間近に眺められる区間で、三輪崎寄りには良好な石敷道が遺る。
阿須賀王子跡
熊野川河口近くの右岸の蓬莱山と呼ばれる独立山塊を後背とした地点に所在。17世紀の絵図の範囲が良好に遺存する。
かけぬけ道
熊野那智大社から妙法山阿弥陀寺へと向かう区間。
熊野川
奈良県の山上ヶ岳に源を発する大峯川を源流とし、熊野灘に注ぐ流長183kmの大河である。中流域の熊野本宮大社旧社地から熊野速玉大社までの約34kmが「川の参詣道」として世界遺産に登録されている。
湯峯温泉(つぼ湯)
15世紀頃に大日越のルートが開かれて以来、湯垢離場となった。
『中右記』の記述を思わせる小屋掛けの湯屋が湯峯川に設けられている。
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